2018年01月15日
  東北大学コラム

【ビッグデータ時代のビジネスと消費者】第1回 経済のサービス化とビッグデータ

東北大学大学院 経済学研究科・教授  兼   同サービス・データ科学研究センター長  照井 伸彦

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年10月26日掲載

 

いま世界ではIT技術の進化とともに現れるビッグデータは、私たちの社会を大きく変える可能性があり、様々な分野で注目を浴びています。

 

わが国は、これまで自動車をはじめとする“モノづくり”で世界をリードしてきました。モノづくりはいわゆる第二次産業ですが、日本を含む先進諸国の経済の産業構造は、第三次産業である“サービス”へシフトしています。

 

実際、わが国では労働者の7割近くが第三次産業で働いており、その生産高もGDP(国内総生産)の7割近くを占めています。この現象は、“経済のサービス化”と言われています。

サービスはモノ以外の“財”であり、例えば、小売・流通業、観光業、美容院など民間によるサービスに加えて、病院や役所などの業務サービスも含まれます。

 

先進諸国では、新しいサービスを作って経済成長を達成すること(サービス・イノベーションと呼ばれます)が目標になっています。このサービス・イノベーションの例として、グーグルのWeb検索、宅急便、アマゾンのネット書店などが取り上げられます。

 

また、既存のサービス運用の無駄を省いて効率化を図ることもイノベーションに含まれます。例えば、Super店長やSuper女将と呼ばれる優れた能力を発揮する特別な人の判断や対応の仕方を客観的に分析して標準化してサービスの効率化を達成することもイノベーションと言えます。

 

さてこれらに共通するのは何でしょうか。それは、ビッグデータと呼ばれるデータの活用です。

 

ビッグデータは電子的に記録される情報(データ)で、その量はIT技術や通信を通して爆発的に増大しています。この膨大な情報の中から役に立つ情報を抽出して活用することで、個人に適した支援(マーケティング、医療、福祉, e.t.c.)などミクロ的活用から減災・防災、都市計画、エレルギー問題などマクロ的活用まで社会全体を豊かにする資源として注目を浴び、各国がこぞってビッグデータ分析と活用に政策的に取り組んでいます。

 

総務省は、2014年情報通信白書において経済効果を推計しました。ビッグデータの活用が全産業の売上高を約61兆円押し上げ、これは全産業の売上4.6%を占める効果だったと試算しました。その5割近い28兆円は流通業であり、その結果、POSデータなどの企業内データに加えて、消費者のソーシャルメディアへの書き込みデータを融合させて分析し、消費者の好みや流行トレンドをいち早くマーケティングに活用する企業が増えています。

 

次回は「第2回 現代ビジネスとビッグデータ」です。

 

【プロフィール】

照井 伸彦(てるい のぶひこ)

・東北大学大学院経済学研究科・教授、同サービス・データ科学研究センター長を兼務

・2012年より情報システム研究機構・統計数理研究所客員教授

・仙台市生まれ、仙台二高卒

・統計学をマーケティングや経済分析へ応用する研究を行っている。最近の著書に「現代マーケティング・リサーチ」(有斐閣)、「Rによるベイズ統計分析」(朝倉書店)などがある。

・日本統計学会賞(2013)、The Tjialling C.Koopmans Econometric Theory Prize (1992)を受賞、日本学術会議連携会員。

※所属等は取材当時のものです。

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