2018年01月15日
  東北大学コラム

【ビッグデータ時代のビジネスと消費者】第3回 パーソナライゼーション

東北大学大学院 経済学研究科・教授  兼   同サービス・データ科学研究センター長  照井 伸彦

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年10月28日掲載

 

これまで、企業はこのビッグデータを十分活用してきませんでした。現代の企業は、このビッグデータを分析して、様々な戦略に活用したいと考えています。

 

例えば、気温や天候によって売上が大きく変わるような商品、例えば、お弁当やアイスクリーム、などは、気象データと過去の売上データを組み合わせて分析することで売上の予測ができます。これによって、売れ残りによる廃棄ロスや品不足による損失(販売機会を逃すという意味で機会損失と呼ばれます)を最小限にすることができます。

 

また、顧客個人の好みをその人の購買履歴データを分析することで知ることができます。これにより、顧客にとって適切なレベルのサービスを個別に提供することが可能となり、それによって顧客満足が生まれ、その結果、企業への愛着(ロイヤリティ)が生まれ、いわゆる、常連顧客、となってゆきます。

 

顧客に個別の対応をすることは、パーソナライゼーション(個別化)と呼ばれますが、まさしく、顧客のパーソナライゼーションが現代企業の大きな目標であり、これを実現する資源がビッグデータなのです。

 

私たちの研究(Ishigaki, Terui, Sato and Allenby, 2014)では、あるスーパーの顧客データベースを分析し、店舗にある商品のそれぞれにについて顧客の好みや価格・販促への態度を個人ごとに推測して、商品や顧客に対する店舗の施策-マーケティング-をきめ細かく考えて効率性を上げる材料を提供する仕組みを開発しました。

 

このパーソナライゼーションの考え方は、他の分野にも当てはまります。例えば、皆さんが病気に罹った時、同じ薬を処方されても効果は様々です。薬の効き方は、これまでの罹患歴や遺伝子レベルでの個人の相違によっても変わるものです。

 

これに関する情報として、病院のカルテや遺伝子情報も個人の特性を知る手がかりを与えるビッグデータであり、これを解析して個人に個別の医療を行うのが医療のパーソナライゼーションです。

 

また、教育において、同じ教材で同じように授業をしても学生の理解度は様々で、学生の学習能力の違いが問題となります。これも小テストやクイズなどの点数データを活用して、個人に適した学習の在り方を考える教育のパーソナライゼーションも議論され始めています。

 

次回は「第4回 テレビ広告の効果」です。

 

【プロフィール】

照井 伸彦(てるい のぶひこ)

・東北大学大学院経済学研究科・教授、同サービス・データ科学研究センター長を兼務

・2012年より情報システム研究機構・統計数理研究所客員教授

・仙台市生まれ、仙台二高卒

・統計学をマーケティングや経済分析へ応用する研究を行っている。最近の著書に「現代マーケティング・リサーチ」(有斐閣)、「Rによるベイズ統計分析」(朝倉書店)などがある。

・日本統計学会賞(2013)、The Tjialling C.Koopmans Econometric Theory Prize (1992)を受賞、日本学術会議連携会員。

※所属等は取材当時のものです。

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