2018年03月14日
  コラム

【チーズの世界 Q&A】第4回 世界3大ブルーチーズとはどんなチーズですか?

東北大学大学院 農学研究科教授 齋藤 忠夫

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2016年2月25日掲載

 

写真1 左からロックフォール、ゴルゴンゾーラそしてスティルトンです

 

Q:世界3大ブルーチーズとはどんなチーズですか? 

A:この定義は日本だけのもののようです。海外では3大ブルーチーズとは言いません。

これは、写真に示しましたように、ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトンの3つの個性的なブルーチーズを指しています。

ロックフォールだけは、ヒツジ乳から作り、それ以外は牛乳から作ります。

これらのチーズでは、内部に青カビを接種し、内部から外側に向かって熟成が進んできます。白カビのチーズでは、カビを表面に接種しますが、青カビでは逆です。

また、カビは酸素がないと育ちませんので、外側から針を刺して空気の通り道を作ります。青カビには、ペニシリウム・ロックフォルティーを使うことが多いですが、ペニシリンを作る株とは違いますので、安心して食べられます。スティルトンでは有名な話があります。

かつてエリザベス女王が来日された際、このチーズが日本にないことにご立腹され、急遽イギリス本国から空輸させたそうです。(写真出典:http://fromage.jp//i/set000020

写真2 赤い部分がチーズワックスの部分です。

 

Q:チーズの表面の硬い皮や赤いワックスは食べられますか?

A:一般的には食べません。

熟成型のとくに硬質チーズは、熟成前に濃い塩水(飽和食塩水)に漬けたり、表面に塩を擦り込んだりして加塩をします。

この操作により、表面の脱水を促すことで表皮(リンドといいます)を作ります。さらに熟成中には、布で拭いたり、ブラシをかけたりして手入れをすることで、チーズ表面に固い表皮を作っていきます。

これらの作業は日々行うものですから、とても大変です。

そこで、熟成前のグリーンチーズを、溶けたワックスの中に漬けてコーティングをしたり、真空包装をしてつくる熟成型チーズもあります。

これらは、当然表面の固い表皮はできないので、リンドレスと呼んでいます。チーズの表皮は固くてまずいので、食べられますが通常は食べません。また、ワックスは食べても無害ですが、これも取り去って中身だけを頂きましょう。

写真3 フィルムで包んで真空包装をしてつくる熟成型チーズ

 

Q:チーズはどのように分類されているのでしょうか?

A:日本ではフランスの分類に従って、7種類に分類する方法が定着しています。

まず、熟成しないフレッシュタイプがあります。白カビおよび青カビによる熟成タイプがあります。

また、牛乳とヒツジ乳は一緒ですが、ヤギ乳のチーズだけはシェーブルとして特別に分けています。さらに、セミハードとハードタイプがあります。それにウオッシュタイプがあります。これで7種類となります。

しかし、イタリアやスペイなどの多種類のチーズも輸入され、この分類では対応できない場合も多くなってきました。

そこでチーズプロフェッシュナル協会(CPA)では、フレッシュタイプ、ソフトタイプ、青カビタイプ、圧搾タイプ、加熱圧搾タイプの分類を提唱しています。

かつては、チーズ中の水分含量で分けていましたが、柔らかいチーズも時がたてば硬質チーズになり分類が変わってしまうので、現在はこの分類は使っていません。

 

Q:フランスのAOCチーズ、ヨーロッパのPDOチーズとは何ですか? 
A:フランスのAOCとは「原産地呼称統制」のことで、国内のINAOという公的機関が、審査から認可および管理を厳しく行っています。

認可された食品は、チーズやバターなどの乳製品だけでなく、ワインや食肉まであります。数からいうとワインが一番多いようです。

1992年にはEU(ヨーロッパ連合)が、以前からあったフランスのAOCとイタリアのDOCを参考にして、新しい認証システムを作りました。ここでは、PDOという「原産地名称保護制度」の統一マークを付けることになりました。

このマークの付いているチーズは優れた品質をEU委員会が認定保障していますので、安心して頂けます。マークは同じですが、添えられる文字は異なります。

フランスはAOCからAOPと表記することになりました。また、EU非加盟国のスイスでは、独自のAOC制度を発足させました。

写真4 左はEU諸国のPDOマークで、左はフランスのAOPマークです

 

次回は「第5回 これまでにない新しいタイプのチーズはありますか?」です。

 

【プロフィール】
齋藤 忠夫(さいとう ただお)
東北大学大学院 農学研究科教授
より優れた乳酸菌を用いて新機能性ヨーグルトの開発に取り組んでいる。
著書には『畜産物利用学』(文永堂出版、2011年)他、30冊がある。
趣味 ピアノ演奏

※所属等は取材当時のものです。

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