2015年06月10日
  東北大学コラム

健康長寿食!?1975年ごはんのポイント【スリムな体型を目指すなら1975年ごはん!?】第3回

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年6月10日掲載

 

1975年の食事が優れているのは、バランスである。

 

欧米食に偏った今の食事と1960年の粗食の中間にあるのが、1975年の食事だ。多少欧米化した和食という言い方が、しっくり来る。

 

【1975年の日本食の献立表】

 

1960年の食事は、品数が少ないことと塩分が多いことが弱点だった。それをうまく補強したのが、1975年の食事だ。1975年の食卓では、豊富な食材を多様な方法で調理して食べている。品目も日本人にとって、懐かしい、なじみのあるものばかりだ。ポイントは以下の通りである。

 

■少しずつ、いろんなものを食べる。

これが基本方針である。現代の食事は、食材に偏り、バランスが悪い。ここで誤解してほしくないのは、肉と油がいけないと言っているのではないことだ。何でも摂りすぎが、一番よくない。

 

■和食一辺倒ではない。

1975年の食事は、決して一汁一菜の粗食ではない。1975年は、今ほどではないが、欧米食も取り入れていた。和食ばかりだと、どうしても品数が乏しくなってしまう。

 

■出汁や発酵調味料を上手く使う。

出汁や発酵調味料(味噌や醤油、みりん、酢など)を上手く使うことにより、塩分を減らし、様々な食材を使うことができる。

 

■豆類を多く摂る。

1975年は、豆腐や油揚げ、おから、納豆などをよく食べていた。これらはすべて大豆の加工品である。タンパク質には、動物性と植物性がある。以前はタンパク質を豆類から多く摂っており、タンパク源をもっと大豆に頼っても良い。

 

■一日1~2個、卵を食べる。

以前は、卵をよく食べていた。コレステロールを上げるからと、今は敬遠されがちだが、実は脂質類、タンパク質などがバランスよく含まれた「完全栄養食品」である。カルシウムも豊富に含まれている。また、1960年以前の食事でも卵は少ない。安価なうえに、ゆで卵や目玉焼きなど、調理が簡単で手軽に食べることができるのも魅力だ。

 

■主食はごはんがメインに。

1975年、一人当たりの米の消費量は、今の1.5倍だった。特にごはんの量を減らさなくてよい。ごはんはパンに比べておかずのレパートリーが豊富になる。主食はごはんがメインの食生活にシフトすると良い。

 

■毎日、味噌汁を飲む。

1975年、味噌の摂取量は現代に比べてずっと多かった。今では塩分の取りすぎは高血圧の原因になると言われ、味噌汁を控えている人も多いのではないだろうか?ところが、最近の研究によって、味噌汁を毎日飲めば、血圧が下がることがわかった。味噌に血圧を下げる物質が含まれているのだ。発酵食品である味噌は、非常に成分が複雑で、数千もの物質を含み、栄養価も高い。がんや脳卒中のリスクを下げ、美肌効果もある。大豆から作られる味噌は、日本古来のすばらしい食品である。塩分が高いからといって、味噌汁を敬遠するのは、非常にもったいない。

 

■魚は毎日、肉は一日おきで。

1975年は魚介類を多く摂り、肉は今の半分ほどしか食べていなかった。魚に含まれる栄養素は、人間の健康にとって欠かすことのできないものだ。魚の脂分に含まれるEPA・DHAなどのオメガ3系脂肪酸には、数々の健康効果があり、魚を中心とした食生活を送る地中海沿岸の人々は、世界的にも長寿であることが知られている。魚は毎日食べ、肉は一日おき程度にすることをおすすめする。

 

■調理は「煮る」を最優先に。

1975年の食事では、野菜でも魚でも、「煮る」が圧倒的に多い。水や出汁で食材を煮込んでゆく煮物は、油を使用しないヘルシーな調理法である。「炒める」「揚げる」など、油を使った調理法が増加したのは、1980年代以降のことだ。和食は世界的に見ても、素材を大切にする料理である。外国と比較して、それが最も顕著に表れているのが、「水」である。日本人は、調理において、水を大切にする食文化を持っている。出汁、鍋、煮物など、和食には水が欠かせない。

 

■食後には果物を。

1975年は食後のデザートや、おやつとして果物がよく食べられていた。現代では、ケーキなどのお菓子類に押され、果物の摂取量は少なくなっている。しかし、様々な成分を摂取するということを考えるとき、精製された白砂糖がたっぷり使われたお菓子より、ビタミンや食物繊維が豊富な果物のほうがいいのは言うまでもない。

 

■海藻類を多く摂る。

周囲を海で囲まれた日本では、古くから海藻を日常的に食べる習慣があった。海苔や寒天をはじめ、塩に漬けて保存性を高めた塩蔵わかめ、天日にさらした乾燥ひじきなどは、保存の利く便利な食品だ。海藻は低カロリーでありながら、カルシウムやリン、亜鉛、ヨードなどのミネラルがたっぷりと含まれている。特に、海藻に多い水溶性食物繊維は、小腸での栄養素の消化吸収を抑えたり、遅らせたりする働きがある。

 

【まとめ図】

 

 

【プロフィール】

都築 毅

1975年生まれ。愛知県豊田市出身。東北大学大学院農学研究科博士課程を修了し、2008年から東北大大学院農学研究科准教授。専門は食品機能学。趣味はフルート。

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