2015年07月09日
  東北大学コラム

【結晶は生きている】第4回 きれいな氷をつくろう

東北大学大学院理学研究科 客員研究者 塚本勝男

 

雪も氷ももとは水からできている結晶である。

 

自宅の冷蔵庫で氷をつくってみると、透明にならないで気泡が入った白い氷になりやすい。

これは氷の結晶が育つときに熱を発生するからである。

 

製氷皿の材質を金属にしたりプラスチックにしたりしてもあまり改善されない。なぜ透明にならないのであろうか?

 

氷ができる様子を顕微鏡で眺めてみた。冷やした下部から上に向かって氷が成長している。

よく見ると成長している先端でつくられた気泡が、成長している氷に次から次へと取り込まれる様子が分かる。これが白い氷の原因。この気泡が何故できるのかを考えてみよう。

 

 

氷は加熱すると水になって融ける。逆に、水が氷になるときに熱を放出する。

 

この熱は潜熱といわれており、あらゆる物質のなかで水の潜熱は最大。

 

ビールや炭酸飲料水には圧力を高めて強制的に多量のガスを溶け込ませているが、冷蔵庫の中の水には自然に空気が溶け込んでいる。これを暖めたら溶け込んでいた空気が気泡となって現れる。

 

 

まさにその現象が凍りつつある氷の先端近くでおきている。つまり、氷の成長で放出された潜熱が水を温め、溶けていた空気を気泡として放出するのである。

この理屈が分かると、透明な氷の作り方も推測できよう。潜熱と気泡をどう逃がすかがキーである。この潜熱の発生は眼に見えないために、結晶をつくるときに気にしないことが多い。しかし、急速に結晶が成長するときには無視できない影響もある。

 

これは次回に。

 

次回は「第5回 地球の常識、宇宙の常識」です。

 

【プロフィール】

塚本勝男

東北大学大学院理学研究科 客員研究者/大阪大学大学院工学研究科 特任教授

結晶の成長プロセスを分子レベルで光学的に観察するのが得意。無重力での結晶成長研究に精通。2013年には結晶成長の基礎研究に対して日本人として初めてフランク賞を受賞。趣味は音楽鑑賞、海外旅行、温泉巡り。

 

 

 

 

 

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