2019年07月17日
  東北大学新聞

【投開票日7月21日】参院選の注目ポイント ~河村和徳准教授に聞く~

東北大学新聞6月号

 

2019年は選挙イヤーである。4年ごとの統一地方選挙と3年ごとの参議院議員選挙が重なるためだ。今回は、政治学に精通している本学情報科学研究科の河村和徳准教授に、参院選や震災と政治についての話を伺った。

 

河村准教授が今回の参院選で注目しているのは主に二つ。一つはアベノミクスが失速気味である中で、与党や野党のどちらの既成政党に対しても嫌気を感じている人々がどのような投票行動をするのかだ。安倍政権が長期化する中で、自民党の一強状態を嫌い、選挙において意識的に与野党が伯仲するよう投票する有権者がいることが考えられる。

 

もう一つは、米中の貿易戦争に対して各政党がどのような視点に立つのかだ。特に農業の分野で、アメリカ政府は二国間交渉で日本に対して市場開放を求めてくる可能性は大きい。その際に日本の農家をどのように守るのかということは与野党が争点化すべき点だ。特に地方の有権者にとっては、安全保障や憲法改正の議論だけではなく、地域振興策も含めた経済政策を各政党が掲げられるのかどうかが重要となる。

 

また、最近は自民党の一党優位性が続いている。「小選挙区制を導入すれば二大政党制になるという神話はすでに破綻している」と河村准教授。近年の国際情勢を鑑みると、単純に右か左か、はたまたイエスかノーかという時代ではなくなってきているのだ。多様化する社会の中で、非常に利害関係が入り組んでいるため、政治家はさまざまな主張をする必要がある。それはそれで選挙制度を変えるか、政党間で利害関係に対して落としどころをつける必要があると考えられる。

 

被災地復興という点から見ると、選挙の度に震災は風化してきていると感じる。本学では地震の被害で研究棟の立て直しを余儀なくされた。そのときは震災が身近なもので、震災の影響から政治に興味を持ち始めた学生が多かったが、今は震災の痕跡が見えにくくなっている。多くの人々が被災地復興に共感できているうちはいいが、震災から8年も経つと、圧倒的に少数派な被災者に対する関心も失われがちになる。民主主義という多数決制の下では、被災者という少数者の声をどうくみ取るかが今まさにという点が問題となっている。少数派に寄り添うため、政治家は以前にも増して丁寧な説明が求められるようになっているのだ。

 

河村准教授は、学生に向けて「とにかく選挙に行ってみてほしい」と呼びかける。選挙は自分が政治と近づく初めの第一歩でもあり、一番簡単な政治参加でもある。選挙を通じて政治や世の中を学ぶことは今後に必ず生きてくるはずだ。とりあえず一票を、自分への投資として投じよう。

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