2017年09月29日
  東北大学コラム

【ゲノムと社会】第4回 病気が発病する確率がわかる?

東北大学東北メディカル・メガバンク機構特任教授  長神 風二

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年8月6日掲載

 

前回、ゲノム情報から乳がん等への「かかりやすさ」がわかって乳房予防切除という対応を取られたアンジェリーナ・ジョリーさんの例を取り上げました。

 

こちら、「かかりやすさ」というのは、病気が発病する確率で、同じゲノム情報を持った人々が過去どうだったかを調べることなどから算出されます。

 

また、確率であらわされるように、単純な運のような要素もあり、さらに、発病するまでの生活環境がどうであったかなどが、大きく影響してくることもあります。

つまり、過去の例がきちんとないと、ちゃんとした確率は出せない、ということになります。では今、どんなことがわかっているのでしょうか?

 

ゲノムの中でたった1カ所が変わってしまうだけで確実に病気になってしまうようなもの、こうしたものが数万、知られています。また、ゲノムの中のある場所がこうなると、病気の確率が相当上がる(ジョリーさんの例もこれですね)というところも、相当な数知られています。また、さらに、確率がほんのちょっとだけ変わる(らしい)というものも、大変多く知られています。病気の確率をほんのちょっとだけ上げるものは、ほかのところでほんのちょっとだけ下がっているかも知れず、きちんと調べるのは大変難しいものです。

 

こうした多数の知見を総合して、ゲノム情報から、よく当たる予測を立てようと世界中で取り組まれていますが、まだあまりうまくいっていません。特に日本人では、欧米人に比べて、きちんと調べられた「過去の例」が少ないので、まだまだ、というのが現状です。

 

次回は「第5回  ゲノム医療のこれから」です。

 

長神 風二

東北大学東北メディカル・メガバンク機構特任教授

科学と社会の接点を考えつつ、大規模なゲノム研究の広報にも携わる。

著書に『予定不調和 サイエンスがひらく、もう一つの世界』(DIS+COVERサイエンス)(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2010年)がある。

 

 

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