2017年10月31日
  東北大学コラム

【存続の危機!東北地方の郷土芸能をデジタルで救え!】 第3回 モーションキャプチャで郷土芸能を若者に伝える

東北大学大学院教育情報学研究部   渡部信一教授

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年9月2日掲載

 

「伝統芸能デジタル化プロジェクト」では、劇団の役者養成所における授業にも最先端のモーションキャプチャ・システムと3DCGを持ち込み、民俗舞踊の継承支援を行っています(共同研究者:東北大学大学院教育情報学研究部 佐藤克美准教授)。

 

劇団「わらび座」は、秋田県田沢湖の近くにあります。「わらび座」は民俗芸能をベースとしたミュージカル中心の劇団ですが、ここには舞台役者の養成所があります。わらび座では日本の民俗・風習を基本としたオリジナルのミュージカルを中心に上演しており、したがって養成所でも演技や歌の授業に加え、民俗舞踊や日本舞踊の授業を重視しています

(写真1、2)。

ところで、役者養成所の養成期間は2年です。研究生(学生)がどんな素人であっても、2年間で一人前の役者に育て上げなければなりません。研究生は2年後に舞台に上がり、鑑賞料を支払ったお客さんの前で踊ったり演技をしたりしなければなりません。本来ならば長い時間かけて熟達させてゆかなければならない民俗舞踊や日本舞踊の「わざ」を、2年という短い間に習得させなければならないのです。

 

このような養成所における民俗舞踊や日本舞踊の授業を支援するため、最先端のモーションキャプチャ・システムと3DCGを持ち込みました。講師の舞踊と研究生の舞踊をモーションキャプチャで計測し、そのデータをもとに作成した3DCGアニメーションやグラフを教材として活用しながら授業を実施していただきました(写真3、4)。

予想外だったのは、このような教材が「情報量を少なくできる」という点です。以前からビデオなどは使用されていましたが、ビデオと比較し3DCGアニメーションやグラフでは、講師が強調したい点のみを取り出して表示することが可能になり、その結果、研究生に重要な点のみが効率的・効果的に伝わります。さらに、背景や衣装の動き等の情報を削ることで必要な部分だけ見ることができるようになるというメリットもあります。

 

もうひとつ有効なのは、鏡で自分の姿を見ながら練習したり、ビデオを見ながら練習するときと比較して、自分をより客観視できるという点です。3DCGアニメーションでは、その動きは自分のものですが踊っているのはアニメーションのキャラクターなので、それを「他人」として客観的に評価し、悪いところは改善することが容易になるということです。プロジェクトに参加してくれた研究生のなかには現在、トップ女優として舞台に立っている人もいます。

 

参考書籍:①渡部信一編著(2007)『日本の「わざ」をデジタルで伝える』 大修館書店 ②渡部信一(2012)『超デジタル時代の「学び」─よいかげんな知の復権をめざして』 新曜社

 

動画:わらび座養成所で活用している3DCG等(59秒)

http://youtu.be/JfbICfkNaBw

 

 

【プロフィール】

渡部信一(わたべ しんいち)

1957年仙台市生まれ。東北大学教育学部卒業。東北大学大学院教育学研究科博士課程前期修了。博士(教育学)。東北大学大学院教育学研究科助教授などを経て、現在、東北大学大学院教育情報学研究部教授。

主な著書に、『日本の「学び」と大学教育』(ナカニシヤ出版)、『ロボット化する子どもたち─「学び」の認知科学─』(大修館書店)、『超デジタル時代の「学び」─よいかげんな知の復権をめざして─』(新曜社)、編著書に『日本の「わざ」をデジタルで伝える』(大修館書店)、『「学び」の認知科学事典』(大修館書店)などがある。

ホームページ http://www.ei.tohoku.ac.jp/watabe/

 

 

 

 

 

 

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