2017年10月19日
  東北大学コラム

【震災の教訓を生かすために 最新!災害対策の課題】第5回 生きる力について

東北大学災害科学国際研究所所長(津波工学教授)   今村 文彦 教授

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年8月14日掲載

 

未曾有の大震災から生き残った方々は,いま,どのように当時のことを振り返っているでしょうか?

 

経験のない大きな揺れの後,夢中で周りの方々に安否や避難について呼びかけをしたり,一目散に安全な場所に移動されたり,されたと思います。

 

東北大学災害科学国際研究所では,震災後のアンケートや記録から,今回の災害から生き残った状況,避難所や仮設住宅での生活,さらに復旧・復興を検討されている状況を把握し,生き抜くという状況として当時,どのような能力が必要であったのか?また役にたったのか,を抽出いたしました。

http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2015/07/press20150626-01.html

 

そこには,以下に挙げる8つの力が見えてきました.

①人をまとめる「リーダーシップ」

②問題に対応する「問題解決力」

③人を思いやる「愛他性」

④信念を貫く「頑固さ」

⑤きちんと生活する「エチケット」

⑥気持ちを整える「感情制御」

⑦人生を意味づける「自己超越力」

⑧生活を充実させる力である「能動的健康」

 

事例としては,津波から素早く逃げた人は,自ら動いたり,何をすべきか迷った時に選択肢を挙げて考えたりする「問題解決力」などがあり,自分から人を集めて話し合うといった「リーダーシップ力」も高い傾向が分かりました。

 

また,震災後も心が健康な人は,新しいことへの挑戦を心掛けたりストレス解消の習慣があったりする「生活を充実させる力」を備えていたようです。「感情を制御する力」や「問題解決力」なども高かったと報告しています。

 

実は,この8つの力は非常時だけではなく日常にも大切な力でもあります。今後,このような力をどのように向上させるのか?また,現在自分にはどのような力が十分に備わっていて,どの力が足りないのかを知ることが重要になると思っております。

 

 

【プロフィール】

今村 文彦

東北大学災害科学国際研究所所長(津波工学教授)津波工学や自然災害科学を専門とし、東日本大震災後には、国内外での防災・減災社会構築のための実践的防災学を研究している。

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