2019年03月26日
  東北大学新聞

日本経済の現状と課題 ~経済白書を読み解く~

2019年1月号掲載

 

ワークショップ「日本経済の現状と課題『平成30年版経済財政白書』を読み解く」が昨年12月14日に本学川内南キャンパス中講義棟で開催された。主催は本学大学院国際文化研究科。内閣府から経済財政白書の執筆担当者である室伏陽貴氏を招き、『平成30年版経済財政白書』を基に、日本経済の現状と課題についての講演会が行われた。会場には学生以外にも社会人やお年寄りなどさまざまな人が訪れた。

経済財政白書とは、内閣府(旧経済企画庁)が国民経済の年間の動きを総合的に分析し、今後の動向とそれに対する経済政策の在り方を示唆するために1947年(昭和22年)から毎年発行している文書のことである。 正式名称は年次経済財政報告。一般的には経済白書という言葉が広く使われている。

昨今の日本は本格的な少子高齢化の時代が到来し、第四次産業革命の劇的な潮流の中にいる。本イベントでは、経済白書のデータを活用し、今後における日本経済の展望をどう捉え、どのようにかじを取るべきなのかといった問いに対し室伏氏が解説した。

第1章で室伏氏は、現在の景気拡大期間が戦後最長に迫っていると指摘。今後も緩やかな景気回復が見込まれるが、通商問題の動向や海外経済の不確実性に留意が必要だとした。また、企業の人手不足回復のためには労働生産性を高めることが必要だとも述べた。第2章では、「人生100年時代」の人材と働き方について、IT人材の育成や企業の教育訓練が重要だと解説した。中でも、日本では社会人の学び直しに課題があり、その機会の充実や適切な評価制度が必要不可欠だとした。第3章は「Society 5.0」に向けた行動変化について分析。人類の社会は、狩猟、農耕、工業、情報と推移してきたが、それがいよいよ第5の時代に移りつつある。しかしながら、日本経済はイノベーションへの適合力が弱いと指摘した。

後半には質疑応答が行われ、景気の実態やアベノミクスに関して鋭い意見が飛び交った。それに対し、室伏氏は丁寧に答えており、中身の濃い充実したワークショップとなった。

 

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