2017年12月20日
  コラム

【宇宙への行き方、教えます!】第1回 ロケットは上を向いて飛んで行く、のではない?

東北大学大学院工学系研究科JAXA連携講座客員教授 兼 宇宙航空研究開発機構(JAXA)アソシエートフェロー    富岡 定毅

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年10月12日掲載

 

東北大学大学院JAXA連携講座の富岡と申します。本業は宇宙航空研究開発機構JAXAの研究員で、主に将来のロケットについて研究をしています。今回は、宇宙に行くということ、をテーマに、5回コラムを書きます。おつきあい下さい。

 

8月19日に種子島宇宙センターからH-IIB5号機が、国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられました。(図1)は、打ち上げ直後の映像です。安全のため何kmも離れたところからしか見ることは出来ませんが、そこでも空気が震えるのが分かる位の大迫力です。(図2)は、打ち上げから暫くの間取り続けた映像です。きれいですね。・・・、ロケットの軌跡は上にではなく横に向いてますね。実はロケットは高く飛ぶものではなく、早く飛ぶものだってこと、ご存知ですか?

 

上に向かって100 km行くと、そこは宇宙です。宇宙飛行士が居る国際宇宙ステーションは、地面から400 km位の高さを廻っています。地球がサッカーボールなら、表面から7 mmくらいのところ。目的地、余り高く有りません。実は高さだけなら、(図3)こんな小さなロケットでも宇宙に行けます。

 

大変なのは落ちてこないこと。高校の物理で遠心力を教わった人は、計算機片手に挑戦してみて。遠心力mV2/Rと重力mgが釣り合うという式に、地球の半径R=6400 km、重力加速度g=9.8 m/s2入れると、廻るべき速さが7.9 km/sと出てきます。第一宇宙速度と言います。格好良いので覚え下さいね。

 

東京—仙台間40秒(出張の旅にうらやましいなと思います)、世界一周1.5時間の速さです。この速さが無いと、国際宇宙ステーションは落っこちて来てしまいます。

 

ロケットは加速マシーンなんですね。ちなみに米国での有人打ち上げ(アポロとかシャトルとか)では、打ち上げの瞬間からロケットの中の時計が回りだし、地上からロケットにGod Speed(いってらっしゃい)と通信入ります。Speedというのが、何とも象徴的ですね。

 

これも物理の時間に習うと思いますが、加速するにはエネルギーが要ります。第一宇宙速度で持っている運動エネルギーはv2/2=30 MJ/kgとなります。何のことか分かりませんよね。高さ300 mのビルの頂辺に荷物を届けるのに必要な仕事(3 kJ/kg)の10000万倍大変、と思って下さい。100 kmの高さだけなら約1 MJ/kg、宇宙に留まるのに必要なエネルギーの1/30なんですね。だから、宇宙に着くのは簡単でも、宇宙に留まるのは大変なのです。

 

ちなみに、地球に二度と帰ってこない為に必要な速度は11.2 km/sになります。第二宇宙速度と言います。無限点迄の重力ポテンシャルと釣り合うだけの運動エネルギー、で計算出来ます。地球の周りを廻るだけで、宇宙に飛去る半分のエネルギーが要るのですね。

 

次回は「第2回 ロケット旅行はかなりスリリング」です。

 

 

【プロフィール】

富岡 定毅(とみおか さだたけ)

東北大学大学院工学系研究科JAXA連携講座客員教授

宇宙航空研究開発機構(JAXA)アソシエートフェロー

将来のロケットについての研究を、主にエンジンの面から進めつつ、学生さんとの関わりも楽しめる有難いポジションにいます。

趣味:スターウォーズと飛行機大好き。最近料理にハマっている。酒飲み。

※所属等は取材当時のものです。

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