2017年12月20日
  東北大学コラム

【宇宙への行き方、教えます!】第3回 実はホラー映画の世界

東北大学大学院工学系研究科JAXA連携講座客員教授 兼 宇宙航空研究開発機構(JAXA)アソシエートフェロー   富岡  定毅

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年10月14日掲載

 

東北大学大学院JAXA連携講座の富岡です。前回は、ロケットがかなり無茶な機械だとお伝えしました。乗るのも勇気が要ります。宇宙飛行士さんの給料高いのも頷けます。でも、もっと恐いことが有るのです・・・。こんなことを書いて、宇宙飛行士のなり手が減ると困りますが。

 

先日Gravityという映画をビデオで見ました。恐いです。ホラーかと思った。闇から突然襲って来るものの正体・・・、宇宙ゴミ(スペースデブリ)と言います。

 

最初のコラムで、ロケットは加速マシーンとお伝えしました。ロケットに載っている荷物=衛星とかも、当然すごい速さで地球を廻っています。その結果、いつまで経っても、地球に落ちてこないのです。使い終わってからも。

 

(図1)は、日本で最初に打ち上げたおおすみという衛星です。1970年のことです。電池で動いて、15時間後に電池が無くなって、衛星としての命を終えました。ところが大気圏に飛び込んで地表に戻った(空気と擦れて燃えちゃいました)のは2003年のことです。33年間も何もせず廻っていたのですね。薄—い、薄—い空気と触れながら、少しずつ速度が落ちて、地球に落ちてきました。

 

地球の周りには、使い終わった衛星とか、衛星を運んだロケットの一部とか、一杯廻っています(図2)。古い衛星やロケットは、その内壊れてバラバラになることも有りました。困ったことに、地球の周りには色々な廻り方が有ります。南北方向に廻る軌道とか、東西方向に廻る軌道とか。そうすると、同じ速度で廻っていても、お互いにすごい速さでぶつかることになります。

 

そうして破片が別な衛星にぶつかると、衛星が壊れて大量の破片になり、またその破片が別な衛星にぶつかって・・・、際限なく破片が増える現象をケスラーシンドロームと言います。ケスラーさんが見つけたのですね。2009年には衛星同士がぶつかることが起きています。

 

大きな破片、ソフトボールくらい有れば、地上から見つけることが出来て、何時何処を廻っているか、みんな分かっています。だから避けられます。映画では急なゴミの発生(わざと壊した人が居ました。現実にも2007年に起きています)で避けられませんでしたが。

 

逆にパチンコ玉より小さいと、ぶつかっても何とか保つ様に作れるそうです。(図3)見ると怪しげですが。問題はその間。何処に居るか分からず、かつ、ぶつかったら致命傷。ホラーより恐いです。やっぱり宇宙飛行士さんの給料高いのは当然そうですね。

 

今では、衛星やロケットをわざわざ地球に落とす(海にですよ。某アニメのコロニー落としじゃないんだから)事も始まっていますし、宇宙ゴミを回収出来ないかなんて研究も始まっています。ゲームで撃ち落とす、何て楽しそうですけど、しくじったら大変だしなぁ。

 

皆さん、宇宙でのポイ捨ては辞めましょう。

 

 

次回は「第4回 エコで行きましょう」です。

 

【プロフィール】

富岡 定毅(とみおか さだたけ)

東北大学大学院工学系研究科JAXA連携講座客員教授

宇宙航空研究開発機構(JAXA)アソシエートフェロー

将来のロケットについての研究を、主にエンジンの面から進めつつ、学生さんとの関わりも楽しめる有難いポジションにいます。

趣味:スターウォーズと飛行機大好き。最近料理にハマっている。酒飲み。

※所属等は取材当時のものです。

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