2017年12月20日
  東北大学コラム

【宇宙への行き方、教えます!】第4回 エコで行きましょう

東北大学大学院工学系研究科JAXA連携講座客員教授 兼 宇宙航空研究開発機構(JAXA)アソシエートフェロー  富岡 定毅

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年10月15日掲載

 

東北大学大学院JAXA連携講座の富岡です。前回は怖い話になりました。失敬。もう少し明るい?話題に。

 

皆さん、宇宙に行ってみたいですか?行きたいけど幾ら掛かるんだろう。気になりますよね。宇宙を覗くのではなく、宇宙に留まるなら、一人20億円くらいです。

 

リーマンショック前は、国際宇宙ステーション滞在宇宙の旅、と言うツアーも有ったんですよ。でも流石にねぇ・・・。2億円くらいなら、何とかなると思いませんか?サマージャンボで行けるし(以前お邪魔した高校での生徒さんの意見。しびれました)。つまり今の1/10。

 

前に書きました、ロケットは空になったタンクをエンジンごと捨てながら、身軽になって加速を続けて行きます。そう、捨てちゃうんです。宅配屋さんがガス欠の度にトラック捨てる感じでしょうか?高くつきますよね。運賃の請求書に「トラック1台」也、って書いてあるのですものね。

 

そこで何度も使えないかなという研究進んでいます。再使用と言います。エコな時代ですし。何処も捨てなければ、恐いデブリも減らせそう。

 

再使用の先駆者はスペースシャトル(図1)でした。全部では有りません。荷物と人が乗って、コンピューター積んでいて、エンジンが載っているオービター部分のみ。タンクは捨てます。両側の白い筒には火薬が詰まっていて、重いシャトル(離陸時2000 tonもあります)を持ち上げます(固体ブースターと言います)が、これは海に落ちたのを拾って来て洗って使うそうで、再利用?この部分的な再使用の為だけでも、世界最高性能のエンジンを作る必要が有りました。

 

残念ながら、スペースシャトルは当初思っていた様にはコストが下がらず、数年前に退役しました。NASAでも色々反省会?をやっていて、とにかく最高性能のエンジンでないと実現出来ない程余裕の無い作りをしてしまったこと、人と荷物を一度に積んだので安全性重視に寄ったこと、等に原因が有りそうです。

 

例えばエンジンは7.5時間、55回使える、という設計でしたが、人が乗るとやはり気にして、10回も使わず交換したそうです。

 

余裕が無かった事を反省した?NASAが次に狙ったのは、何と切り離し無し(SSTO, Single-Stage-to-Orbitといいます)完全再使用のVenturestar(図2)。もっと余裕有りません。究極の一品。アメリカ人の挑戦好き、素晴らしい。でも、捨てるはずのものを捨てず、帰って来る為の道具(翼とか脚とか)まで満載とすると、とにかく軽く作るしかなくて、軽く作れず失敗しました。

 

再使用にすればコストが下がって、という話しはずっと有りますが、上手く行った例は無し。最近は、一足飛びでなくて少しずつ、という流れです。JAXAでは、「整備に手間取るのがいかんよね」に注目して、1日で整備してまた打ち上げる再使用観測ロケットの研究開発を進めています(図3)。

 

といっても、宇宙を覗くだけで留まれる程の能力求めません。高層大気の観測ミッションには十分な能力なんですね。ロケットエンジンを何度も使える様にするとか、整備簡単にするとか、壊れそうなのを予見して戻って来るとか。海外では、ロケットの下半分(ブースター段とも)だけでも飛んで帰って来て何回か使う、という堅実路線(それでも飛んで帰って来るのは大変で、今のところ失敗続き)の一部再使用の試みがなされています。

 

 

次回は「第5回 宇宙へ行くのに拾い食い」です。

 

【プロフィール】

富岡 定毅(とみおか さだたけ)

東北大学大学院工学系研究科JAXA連携講座客員教授

宇宙航空研究開発機構(JAXA)アソシエートフェロー

将来のロケットについての研究を、主にエンジンの面から進めつつ、学生さんとの関わりも楽しめる有難いポジションにいます。

趣味:スターウォーズと飛行機大好き。最近料理にハマっている。酒飲み。

※所属等は取材当時のものです。

関連記事

新着記事