まなび情報誌「まなぶひと」 2018年7月号 Vol.36
特集:東北大学の開学
―譬えば天の中枢の―
東北帝国⼤学開学記念絵葉書の⼀部。開学記念印が押されている。理科⼤学本館(1911 年完成)。
東北帝国⼤学開学記念絵葉書の⼀部。開学記念印が押されている。右から澤柳政太郎初代総⻑、北條時敬第2代総⻑、⼩川正孝初代理科⼤学⻑。伊達家の家紋「⽵に雀」のデザイン。
学問の⼥神・ミネルヴァ。松島の⾵景も描かれている。
留学中の眞島利⾏が他の教授候補者とやりとりしていた⼿紙。ベルリンの⽚⼭正夫からキールにいた眞島への⼿紙。
ゲッティンゲンの本多光太郎・⽇下部四郎太から眞島への年賀状。
6 ⽉22 ⽇は東北⼤学の創⽴記念⽇です。今から111 年前の1907 年6 ⽉22 ⽇、仙台に帝国⼤学を設置する勅令が公布され、東北帝国⼤学の創設が決定しました。東京、京都に続く国内3番⽬の帝国⼤学。仙台を中⼼とする⻑年の⼤学設置運動と、当時の内務⼤⾂原敬の働きかけによる⺠間企業からの寄附の賜物でした。
仙台に最初に開設されることになったのは東北帝国⼤学「理科⼤学」。その最初の教壇に⽴つ教授陣に選ばれたのは、20代から40代はじめを中⼼とする「新しい時代」の若者たち10 名でした。
⼈選を任されたのは明治後期の⽇本科学界を代表する物理学者、⻑岡半太郎。選ばれた若者たちの多くは、理科⼤学が開設される1911 年までの約4年間、当時世界の学術の中⼼地とみなされていたドイツを中⼼とする欧州へと留学し、各⼤学の視察や機器の購⼊など新⼤学のための準備を⾏いながら、世界的な研究者の門下生として修練を積んでいきました。
その欧州滞在中の彼らのやり取りの主な⼿段は絵葉書による⽂通。後に有機化学の教鞭を執る眞島利⾏は、⾃分が受け取った絵葉書のほとんどを保管し、現在は東北⼤学史料館がそのコレクションを所蔵しています。当時の彼らの活動はもちろん、欧州の街並みや世相、また彼ら個⼈個⼈のセンスも窺い知れる貴重な資料です。
万事準備が整い、開学式が開催されたのは1913 年9 ⽉22 ⽇。街は待ちに待った⼤学の開学に⼤いに湧き立ちました。その⽇は市内を祝賀提灯をぶら下げた⾏列が奉祝歌を歌いながら盛⼤に街を練り歩いたといいます。
−譬えば天の中枢の 北⽃の姿
東北の 光帝国⼤学の
⽣い⽴つはじめ 祝いかむ−
天の中⼼に光り輝く北⽃七星のごとく、⼤学の発展をひとつの旗印として、⼈々は光ある東北の未来を夢⾒たことでしょう。
[ パリでの初代教授候補者たち]
左から眞島利⾏( 化学)、藤原松三郎( 数学)、⽇下部四郎太( 物理)、愛知敬⼀( 物理)
東北大学の歴史が観られます。
東北大学全体の歴史のほか、10学部の歴史についての動画を公開しています。
ぜひご覧ください。
【特別展示が開催されます】
東北⼤学学術資源研究公開センターが主催する企画展が開催されます。
総合学術博物館、史料館、植物園の3つの施設の収蔵品が⼀挙に⾒られる貴重な機会です。開学記念のはがきも展⽰されます。ぜひ⾜をお運びください。
学術資源研究公開センター3施設合同企画展⽰「東北⼤学お宝⾒参in 附属図書館本館」
【会期】2018/7/2(⽉) 〜7/20(⾦)
【会場】東北⼤学附属図書館本館1 号館エントランス展⽰スペース
【問い合わせ】
東北⼤学史料館 TEL:022-217-5040
東北大学総合学術博物館 TEL:022-795-6767
東北大学植物園 TEL:022-795-6760