2018年10月17日
  まなぶひと

まなび情報誌「まなぶひと」 2018年11月号 Vol.43

特集:附属図書館所蔵西洋古典

 

―西洋古典の世界―

 

東北大学附属図書館は、国内でも有数の規模と価値を有する和漢書のコレクションを所蔵しています。「江戸学の宝庫」とも称される約10万冊からなる狩野亨吉の大コレクション「狩野文庫」や、国宝『類聚国史』に『史記』。しかし一方で、西洋の古典についても、和漢書群に勝るとも劣らない、数多くの貴重な資料を保有しています。

『リヴァイアサン』や『諸国民の富』、『種の起源』など、教科書でもその名に見覚えのある本の初版本や、15世紀に出版されたインキュナブラと呼ばれる最初期の活字本『幾何学原論』など、その数、数千点。

数百年の時を経てきた貴重な西洋古典の数々を紐解くことは、人類が積み重ねてきた知の歴史を振り返ることであると同時に、その「うつわ」である「本」という媒体の歴史を振り返ることでもあります。

そんな「本そのもの」の歴史に触れることのできる企画展が、この秋、東北大学附属図書館で開催されます。

 

 

西洋における活版印刷術は1445年ごろ、現在のドイツのマインツで印刷業を営み、また金細工師でもあったヨハネス・グーテンベルクにより発明されました。それまでは文字は一文字一文字書き写され、本の制作は非常に手間のかかるものでしたが、活版印刷術の発明により印刷革命が起こり、活字本は宗教改革、啓蒙主義、市民革命、そして科学技術の発展にも大きな役割を果たしていきます。

活版印刷機が発明されても初期の活字本は、教会や王侯貴族など、ごく一部の富裕層のみが所有することができる高価な存在でした。本の持ち主はそれぞれに装丁や蔵書票などにこだわり、本一冊一冊を大切に扱っていたのはもちろん、本を制作する印刷所もそれぞれにプライドとこだわりを持ち、まるで芸術性の高い工芸品を制作するように本は作られていました。

 

計算し尽くされたレイアウト。凝ったデザインの飾り文字。印刷所のモットーが意匠化されたプリンターズ・マーク。本の内容に合わせて使い分けられたフォント。

現代ではまるで背景のように見逃されている本の構成要素が、西洋古典と呼ばれる書物ではそれぞれに生き生きと、まるで読者に謎解きしてみろと言わんばかりの趣向として各所にちりばめられています。

今では日本語に翻訳され、その内容を理解することが出来る書物もありますが、「本そのもの」を味わうことが出来るのは、現物を見られる機会のみ。

ぜひこの秋、東北大学附属図書館に「本物の本」に会いに来てみてください。

 

16世紀、現在のドイツの蔵書家ヴェルデンシュタインの蔵書票。肖像画と色鮮やかな紋章が見開き片面を埋める。

1540年発刊の『アーゾ著作集』の標題紙に印刷されたのは、印刷所の商標「プリンターズ・マーク」。蟹が蝶を捕まえたこの意匠が意味するのは「ゆっくり急げ」

 

印刷部と余白のバランスが特徴的なユークリッド著『幾何学原論』。段落冒頭の装飾文字も美しい。

1621年発刊のアグリコラ著『金属について』ドイツ語版。東北帝国大学の包摂校のひとつ。仙台高等工業学校治金学科の蔵書。初版は16世紀に刊行されており、そのような書物が20世紀まで「教科書」として活用されていたのは驚き。

平成30年度 東北大学附属図書館企画展「西洋古典への扉」

【会期】2018年11月1日(木)~18日(日) 10:00~17:00

【会場】東北大学附属図書館 本館多目的室

記念講演会/ワークショップ

【日時】2018年11月14日(水) 13:00開場 13:30開演

【会場】東北大学附属図書館 本館1階フレキシブルワークエリア

【問い合わせ】東北大学附属図書館 TEL:022-795-5911(代表)

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