2019年07月16日
  まなぶひと

まなび情報誌「まなぶひと」 2019年8月号 Vol.59

特集:東北大学薬学研究科・薬学部附属薬用植物園

―薬の庭-

鬱々とした夏の草木と研究棟の林立する青葉山を分け入っていくと、突如、雑草の繁殖を許さない、見事に整備された畑に出会います。

粘土質の青葉山の土壌の上に、さらさらとした水はけのよい用土で仕立てられた畑に整然と植え揃っているのは、その多くが、薬草。

丹精込めて、日々の手入れに情熱を傾ける職人たちの手で、守り、受け継がれ続ける、薬の庭があります。

 

青葉山キャンパスの北端、理学部の敷地を通り過ぎ、薬学部の研究棟の脇を更に奥に進むと、手彫りの象形文字で書かれた看板が目につきます。

そこは、昭和44年に造成された、薬学研究科附属薬用植物園。「全山の草木はことごとく薬草薬木」という理念に基づき、天然薬物資源の保護と有効利用を目的として、日本薬局方に掲載されている生薬の基原植物を中心に、世界各国の多種多様な植物が収集、栽培されている場所です。大学の薬用植物園としては全国一の広さ(52,956m2)を誇り、1,200種以上の植物を観察できます。

畝ごとに植物の学名や生薬名のほか、薬草としての効用や主成分などが掲示され、身近な薬の元になっている植物の自然の姿を学ぶことが出来ます。

仙台には自生しない植物も多くありますが、専任の職員たちの手で手厚く管理・研究され、この仙台の気候風土に合った独自の栽培方法が開発されており、季節ごとに様々な植物の生命力に溢れた姿を目にできます。

国の定める絶滅危惧種に指定されている「ムラサキ」。根を薬用部位(紫根)とするため、筒栽培が行われている。
オクトリカブト。有毒植物として知られるが、強心、鎮痛などの効用も持つ。

温室内では100以上の植物が栽培される。

カカオの花。栽培以来めったに見られなかった花が今年咲いたとのこと。幹に直接花が付く

 

園の一角にはトリカブトなど重要な薬用植物や、絶滅が危惧されているムラサキなども栽培され、貴重な植物の数々を生きた標本として身近に観察できます。

亜熱帯地域の植物などが栽培されている温室では、シナモンの香りのするニッケイや、古代エジプトで紙の原料となったパピルス、パクリと指を挟んでくる食虫植物なども。

他にも青葉山の植生を観察するための自然観察路も整備され、木漏れ日の中を気持ちよく散歩できます。一見自然の山そのままのようにも見えますが、職員たちの手で隅々まで丹念に手入れされており、春先には一面のオウレン畑、今の季節にはたくさんの山百合の姿も目にできます。

多くの先人の知恵と経験により、人間がより健康に生きるための力を見出された植物たちが大切に受け継がれている宝の庭を、ぜひ一度訪ねてみてください。

7月中はベニバナが見頃。乾燥させた花は紅花(コウカ)と呼ばれ、血行促進作用がある。[ 画像提供: 薬⽤植物園]

 

東北大学大学院薬学研究科・薬学部 附属薬用植物園

仙台市青葉区荒巻字青葉6番3号

TEL:022-795-6799

平日:午前9:00-午後5:00開園/土日祝日休園

※案内・解説をご希望の場合は事前にお問合せください。

アクセス:仙台市営バス「動物公園循環」または「ループル仙台」乗車、理学部自然史標本館前下車徒歩3分

仙台市地下鉄東西線乗車、青葉山駅下車徒歩10分

詳しくは、こちら

 

 

 

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