2019年01月18日
  東北大学新聞

マシュマロゲル開発 ~実験の効率化に期待~

東北大学新聞2018年11月号掲載

 

本学学際科学フロンティア研究所の早瀬元助教と工学研究科の野村慎一郎准教授の共同研究チームがシリコーン組成モノリス型多孔体「マシュマロゲル」を開発した。マシュマロゲルによって、生体システムの実験で用いられるベシクルを何度も生成でき、今後、ベシクルを用いた研究の効率が良くなることが期待される。

マシュマロゲルはとても柔らかく、表面は一見滑らかにみえる。しかし電子顕微鏡で見ると枝状に分かれた構造を持っている。場所によって骨格密度にばらつきがあり、孔が点在する。

今回の研究の大きな特徴は、従来の製法よりも手間が少なく短時間でベシクルを作れることだ。ベシクルの原料となる脂質をマシュマロゲルに含ませると、脂質はマシュマロゲルにある数々の孔の表面に貼り付く。脂質を溶かしていた油を取り除き、水を加えるとベシクルが生成する。

マシュマロゲルを搾るとさまざまな大きさのベシクルを一度に取り出せる。その後ベシクルを加工して大きさを変えることができるので、ベシクルを大量に必要とする実験に適している。

さらにマシュマロゲルは生体内でほとんど劣化せず、生体拒絶反応を起こさないと考えられる。応用すれば生体へ埋め込むことができるので、将来、再生医療の研究で大きな力になりうる。

しかし現状ではマシュマロゲルはもろく、引っ張ったりこすったりするとボロボロに崩れやすい。また、ベシクルを作る孔を多くするとマシュマロゲルの骨格が自重で保てなくなる。研究を重ねてこれらの課題を克服すれば、マシュマロゲルは科学研究にとどまらず、さまざまな用途で活躍できる。

今回の研究で、早瀬助教は「従来であればベシクルを作る際、装置が必要で手間がかかったが、新たにマシュマロゲルが登場したことで作業効率が上がる。さらに柔らかさを生かして、いろんな研究を展開できる」と話す。さらに「マシュマロゲルについてたくさんの人に知ってほしい。そして関心を持った研究者とともにマシュマロゲルのより簡単な生成法や応用について検討していきたい」と意気込みを熱心に語った。

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