2017年09月05日
  東北大学コラム

【信頼をめぐる謎】第1回 人は他人を信頼せずに生活できるか?

東北大学大学院文学研究科  行動科学研究室  教授 佐藤 嘉倫

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年6月22日

 

皆さんは毎日人を信頼して生きていますか? 

 

「そんなこと意識したことはないよ」という人が大半でしょう。しかしそう答えられるのは、日本に住む多くの人が信頼に応えてくれるからです。そして信頼が水や空気のようにあたかも「存在して当然」と思っているからです。

 

しかしちょっと立ち止まって考えてみましょう。朝起きて何も考えずに水道の水を飲めるのは、水道局の人が飲める水を供給してくれると信頼しているからです。家を出て隣の人に挨拶できるのは、その人があなたに殴りかからないと信頼しているからです。会社に遅刻しそうなのでタクシーに乗ることができるのも、運転手が全く違う場所に連れて行かないと信頼しているからです。

 

「そんなの当たり前だろ」と怒る人がいるかもしれません。

 

しかし、それほど当たり前ではありません。

 

外国では水道の水が飲めない国があります。ある国の犯罪多発地域では、隣人が犯罪者でその人に金銭を強奪されるかもしれません。また私自身の経験ですが、ある国でタクシーに乗って絹製品の有名店に行こうとしたら、まったく別の店に連れて行かれて、運転手に「俺の友達の店だからまあ見てくれ」と言われたことがあります。

 

このように、信頼は必ずしも当たり前ではないし空気や水のように存在して当然というわけでもありません。

 

しかし、人々は他の人々を信頼して生活しています。このコラムでは、この不思議な「信頼」というものをめぐる謎について皆さんと一緒に考えていこうと思っています。

 

次回は「第2回 人はなぜ他人を信頼するのか?」です。

 

【プロフィール】

佐藤 嘉倫

東北大学大学院文学研究科教授

合理的選択理論の視点から、信頼や社会的不平等の解明に取り組んでいる。

編著に『ソーシャル・キャピタルと格差社会』(東京大学出版会、2014年)がある。

趣味 ジャズ鑑賞、ギター、料理、スキー

 

 

 

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