2018年03月28日
  東北大学コラム

【心豊かな暮らし方のかたちを考える『ネイチャー・テクノロジーとは?』】第1回 今なぜ心豊かな暮らし方を考えるのか?

東北大学名誉教授 石田 秀輝

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2016年4月4日掲載

 

第1回 今なぜ心豊かな暮らし方を考えるのか?

心豊かな暮らし方をなぜ今あらためて考えたいのか?

それは物質的な豊かさが飽和し、新しい定常状態ともいえる精神的な豊かさへの移行が求められているからである。

我々は湯水のごとく地下資源やエネルギーを使って物質的な豊かさを創り上げてきた、その結果、深刻な地球環境問題を引き起こしてしまった。(1-1)では、豊かさを放棄して我慢すればこの問題は解決できるのか? そうではないだろう。

1-1.膨張の時代
人口の増大をはるかに超える消費が環境負荷を生みだしている
1950年~2000年に拡大した世界の経済規模

今求められているのは、物質的ではない新しい豊かさの価値を創成し、それを具体的な形として創り上げることである。そのために避けて通れない視点、それは、もちろんのこと地球環境問題と先進国の先端現象である、少子高齢化だと思う。

地球環境問題は、多くの努力にも拘らず劣化が進み、ますます厳しい状況となっている。地球環境問題の本質は人間活動の肥大化であり(1-2)、ちょっとした快適性や利便性を求めた結果、その積算が幾何級数的な環境負荷を生み出している。

1-2.地球環境問題とは人間活動の肥大化!トレードオフを最も小さくする答えは?

(1-3)一方、エコ・テクノロジーはそれ自体は極めて有効で環境負荷を下げるものではあるものの、それが市場に投入される場は大量生産大量消費の構造であり、結果としてエコ・テクノロジーが消費の免罪符としてしか働かず、現実的には環境負荷を下げる力になっているとはいえない(エコ・ジレンマ)(1-4)。

1-3.エネルギーのことを考えて見る

1-4.

一方、少子高齢化は労働人口の減少につながり、さらに我が国では特徴的に人口の大都市集中と地方の劣化(消滅可能性自治体)につながっている。未来に夢がなければ、合計特殊出生率は増加しないし、地方が豊かにならなければ、大都市は維持できない。

議論すべきは、この地球環境問題と少子高齢化問題を同時に解く鍵を探さねばならないということなのである。

次回は「第2回 新しい定常化への移行の時代」です。

【プロフィール】
合同会社 地球村研究室 代表
東北大学名誉教授 石田 秀輝(いしだ ひでき)
2004年㈱INAX(現LIXIL)取締役CTO(最高技術責任者)を経て東北大学教授、2014年より現職、ものつくりとライフスタイルのパラダイムシフトに向けて国内外で多くの発信を続けている。特に、2004年からは、自然のすごさを賢く活かすあたらしいものつくり『ネイチャー・テクノロジー』を提唱、2014年から『心豊かな暮らし方』の上位概念である『間抜けの研究』を奄美群島沖永良部島へ移住、開始した。
近著;「光り輝く未来が沖永良部島にあった!」(ワニブックス2015)、Nature Technology (Springer 2014)ほか多数

※所属等は取材当時のものです。

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