2017年11月14日
  東北大学コラム

【5日間で「名コーチ」に変身するレシピ】2日目 ゴールのイメージを実感する(ゴールの達成感にしびれる)・・・本当に達成したい目標をみすえたプランを立てる

東北大学大学院 教育情報学研究部 教授    北村 勝朗

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年9月15日掲載

 

きょうのポイントは,小さな成功を実感させながら,大きな目標に向かわせることです。

高校サッカーで指導するチームを全国優勝に導いたある監督から,指導の際には目標を明確に定めることがとても大切であるというお話をうかがいました。

 

「この前の試合でここが悪かったねって,ビデオを編集してみせる。そこを修正して次に勝つために,こういう練習をしていく。きょうはその中でこういう練習をする。そうやって説明をしてから練習に入ります。」 (A高校 監督)

 

このように,何かを指導する際には,学習者と指導者が目標を共有することが重要です。また,その目標を達成する上で,現在はどこまでできているのか,何ができていないのか,を明確にし,今の状態,つまり現在地をはっきりさせます。その上で,どのようにして目標を達成するのか,その方法について理由をそえて説明がなされます。

 

ちょうど図のように,登山をすることとよく似ています。更にもうひとつ付け加えると,目標を達成した時にどんなにすばらしい体験を得られるか,どんなうれしい気持ちになれるのか,を具体的にイメージすることも重要です。これらが明確になることで,動機づけが高まり,自分から進んで取り組むしかけになります。

 

小さな目標をつくって成功を積み上げていき,自分がどこまで来ているのか実感させることが重要です。そのために,ゴールに向かう途中で,適宜,下記のように,どこまで目標に近づいてきているかを伝えてあげることが大切です。

 

<ポイント>

  • ここまでできたね。あなたの目標までがあと少しで到達できそうだね。
  • 先週はあそこだったのに,今はここまで来れたよ。もうすぐあそこまで行けると思うよ。
  • 前より落ち着いて話せるようになったね。人前で話すことが得意になるのももうすぐだね。
  • どんなことをしたいの。それができたら何が一番うれしいのかな。そのために今できることは何かな。

 

こうした問いかけによって,ゴールとそのプロセスが視覚化され,具体的なイメージを描くことで,目標達成に向けた行動が明確になります。

 

こうしたコーチング行動は,自己効力感という概念で説明することができます。(図参照)

 

 

自己効力感とは, Bandura(1977)によれば,「課題に直面したときに自分の力でうまく解決できるかどうかという能力についての自信や信念」です。要するに,どのくらい自分がうまくやれるか,についての期待ですね。この自己効力感には,直接自分で体験してうまくできた体験,激励の言葉,友だち等がやるのを見てできそうだと判断すること,が自己効力感に影響を与えると考えられています。

ですから,小さな目標をつくって成功を積み上げていき,自分がどこまで来ているのか実感させることはとても重要ですね。

 

<きょうのまとめ>

さて,きょうの話をまとめてみると,「よいコーチ」のこつとして次の5つがあげられます。

1.大きな目標と小さな目標を明確にして共有する。

2.目標に対して,今,何ができて,何ができないのかを明確にする

3.どのようにして目標を達成するか,計画を具体化する

4.目標を達成した際のわくわく感をもつ

5.小さい目標を達成して,成功を実感させながら,一歩一歩大きな目標に近づいていく

 

 

<きょうの宿題>

明日,相手ができる小さな目標をつくって,成功体験を感じてもらいましょう。

 

参考文献:北村勝朗著「300人の達人研究からわかった上達の原則」CCCメディアハウス 2015年

 

次回は「3日目 チームのルールをつくろう」です。

 

【プロフィール】

北村勝朗(きたむら かつろう)

東北大学大学院教育情報学研究部教授

どうしたら人の才能は開花するのか,という疑問について,熟達化とコーチングの視点から研究に取り組んでいる。

主要な著書に『300人の達人研究からわかった上達の原則』(CCCメディアハウス,2015年),編著書に『わざ言語-感覚の共有を通しての「学び」へ』(慶應義塾大学出版会,2011年),共著に『スポーツモチベーション』(大修館書店,2013年),『理科大好き!の子どもを育てる』(北大路書房,2008年)など。

趣味 バイクツーリング,映画鑑賞,身体を動かすこと

 

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