2017年11月14日
  東北大学コラム

【5日間で「名コーチ」に変身するレシピ】4日目 問いかけてじっくり聞く

東北大学大学院 教育情報学研究部 教授    北村 勝朗

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年9月17日掲載

 

 

きょうのポイントは,相手が自分で考え,気づき,行動するように促すことです。

厚生労働省が行っている,すぐれた技能を発揮する人々を表彰する「現代の名工」の制度があります。この名工に選ばれる人は,自身の技能の卓越性だけでなく,後輩の指導という点でも高く評価されています。この現代の名工に選ばれたある方は,後輩の指導について次のように語っています。

 

「後輩がいろいろ試してうまくいかなくて相談に来た時,まずはどういう条件でやったのか一つひとつ聞いて確認していきます。それで相手に,どうすれば次は成功するかなと聞いて,相手がこうすればいいと思いますって言ったら「それやってごらんよ」と必ず言ってあげます。もちろん,それでやっても失敗するって私はわかっているんですけど。」(現代の名工)

 

この話しの中にあるように,名工に選ばれた方の行動は,まず相手の話をじっくり聞くことから始まっています。そして問いかけながら相手の考えや計画を引き出し,そしてそれを行動に結びつける形で応援しています。このように,相手と向き合ってじっくり話に耳を傾けることは,コーチングを行う上でとても大切なことです。

 

<じっくり聞くことのポイント>

  • 自分はこの人に受け入れられていると確信してもらう
  • 自分の話には価値があるという自信をもってもらう
  • 自分の今の状態を正しく理解してもらう
  • 自分で考えてもらう
  • 話している中で,自分の考えを整理してもらう
  • 話している中で,自分から気づいてもらう

 

では,どのようにして,じっくり聞けばよいのでしょうか。2つのポイントがあります。まず第1に,相手に興味関心をもって,相手に期待すれば,いろいろな問いかけが浮かんできます。例えば,下記の図のような問いかけがありますね。

 

 

じっくり聞く時の主役は相手になります。ですから,できるだけ自分の考えや自分の話はせずに,相手に話してもらうことが大切です。様々な問いかけによって,相手の考えていること,思っていること,感じていること,これからやろうとしていること,等について語ってもらいましょう。こうすることで,相手の自律性を促し,自分で考え,自分で気づくきっかけを与えることになります。

 

じっくり聞くための2つ目のポイントは,相手の話をさえぎってしまうキーワードを使わないことです。いわば,NGワードといったものですね。代表的なNGワードとして下記の8つがあげられます。

 

ここにある8つの言葉を使わない様に意識するだけでも,相手とのコミュニケーションの形が変わってきます。とにかく,あなたの話よりも相手の話を主役にして会話してみましょう。

 

<きょうのまとめ>

さて,きょうの話をまとめてみると,「よいコーチ」のこつとして次の2つがあげられます。

1.相手に対して,指示命令をするのではなく,まず問いかける

2.相手の話をじっくり聞く

 

 

<きょうの宿題>

自分の部下や後輩の話を3分間じっくり聞いてみましょう。

 

参考文献:北村勝朗著「300人の達人研究からわかった上達の原則」CCCメディアハウス 2015年

 

次回は「5日目 指導する相手が自分で考える習慣をつくる」です。

 

 

【プロフィール】

北村勝朗(きたむら かつろう)

東北大学大学院教育情報学研究部教授

どうしたら人の才能は開花するのか,という疑問について,熟達化とコーチングの視点から研究に取り組んでいる。

主要な著書に『300人の達人研究からわかった上達の原則』(CCCメディアハウス,2015年),編著書に『わざ言語-感覚の共有を通しての「学び」へ』(慶應義塾大学出版会,2011年),共著に『スポーツモチベーション』(大修館書店,2013年),『理科大好き!の子どもを育てる』(北大路書房,2008年)など。

趣味 バイクツーリング,映画鑑賞,身体を動かすこと

 

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