2018年06月12日
  東北大学コラム

高齢者が安心・安全に運転できる3つの意識 「第2回 1つ目:認知の意識」

東北大学未来科学技術共同研究センター 准教授  山邉茂之

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2016年12月13日掲載

 

第2回「1つ目:認知の意識」

運転は,認知,判断,行動の繰り返しである,と前回お伝えしました.今回はその中の認知とは?について説明していきたいと思います.

「視覚情報」
車の運転を行うのに必要な情報の大半は,目から入る視覚情報です.例えば,信号機,道路標識,路面標識,白線や停止線など目で見る情報から交通ルールを運転者に伝えています.信号機や白線,停止線は,頻繁に気にする部分なので,運転者が意識して情報を得にいっており,これら情報はインフラで固定されているため,大体決められた位置にあります.

「道路標識」
図に示す速度規制標識ですが,「最近,速度規制標識を見ましたか?」と聞いてみると,多くの方が意識してあまり見てないと答えます.これをお読みになっている方はいかがでしょうか?

図:速度規制標識

もし「速度規制標識も見ている」とお答えした方は,視野が広く取れており,“周辺視野”により情報を色々得て運転できている方になります.運転に慣れてくると速度は交通の流れに任せるか自分の感覚で走るようになってしまいます.

この状態で速度規制標識に注意がいかない様であれば,前方に意識が集中した“中心視野”で運転している可能性が高く,周りが見えていないかもしれません.

「照合作業」
視野を広く取り多くのものを視覚情報として取り入れることは,「認知」つまりあるものに対して自分が記憶しているものと照合して一致するものを探す作業が発生します.経験は,比較対象となるものをどんどん頭の中に増やしてくれます.

高齢者になると対象物自体を忘れてしまっていることもあり,また,脳で照合する作業に時間がかかり,中心視野で得られる情報が少ないと認知したものを勘違いする可能性を起こしやすくもなってしまいます.

加齢とともに周辺視野は狭くなるものですし,動体視力も低下するものですので,低下していること自体をまずは意識し,その低下した認知力は,走行速度を抑えることで認知にかける時間をかせぐことで補えるようになります.

次回は第3回「2つ目:判断の意識」です。

【プロフィール】
山邉 茂之(やまべ しげゆき)
東北大学未来科学技術共同研究センター准教授
ホームページhttp://mobility.niche.tohoku.ac.jp/
2007年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻博士課程修了。東京大学生産技術研究所を経て、2013年より現職。車両工学、シミュレーション工学を専門として、事故など現実では再現が難しいシチュエーションをシミュレータの活用により、運転者の運転行動計測や生体計測から原因解明を行う研究をしている。

※所属等は取材当時のものです。

 

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