2017年09月25日
  東北大学コラム

【知って納得! くり返し発生する地震の謎】第5回 予知ができる地震〜その後

東北大学理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター  内田 直希(助教)

仙台放送ニュースアプリ【みんなのゼミ】にて
2015年7月24日掲載

 

岩手県の釜石沖のくり返し地震は、2011年の東北沖地方太平洋沖地震の後、それまで5年程度であった発生間隔が極端に短くなっただけでなく、地震の規模(マグニチュード)が一時的にそれまでよりも大きくなり、その後徐々に元に戻っていくという変化をしました(下図)。

 

ずっと同じことが続き、ある程度予測できると思っていたのに、実はそうではなかったのです。このような発生間隔の減少をもたらしたのは、余効すべりとよばれる、大きな地震の後そのまわりで発生するゆっくりとしたすべり現象でした。

 

つまり、東北沖地震が起こったために、釜石沖の地震が影響を受けて発生間隔が縮まったのです。

 

では、規模の増加はどのような原因によりもたらされたのでしょうか?地震の規模は、主に地震のときにすべった広さとすべりの量で決まります。

 

2008年と2011年の釜石沖地震の際にすべった広さを調べたところ2011年の釜石沖繰り返し地震は、2008年の地震に比べすべり域の大きさがそれまでの領域を含むおよそ6倍になっていたことが分かりました(下図)。

 

 

このような変化は、前回まで場所ごとに決まっていると考えていた、断層が急激にすべり、地震を起こすか、あるいはゆっくりすべり地震を起こさないかという性質が、周りからの力のかかり方の速度で変わるということを示します。一見単純な釜石沖のくり返し地震から新たな発見があった瞬間でした。

 

地震はいつ、どこで、どれくらいの大きさのものが起こるか – それを知るためにはまだまだ私たちの地震に対する知識は少なすぎます。ここでは述べませんでしたが、計算機での計算により地震のくり返しを再現し、地震の仕組みを解明しようという取り組みもあります。

 

くり返し発生する不思議な地震の発見は、数ある地震のうち、より単純でわかりやすい地震として、複雑な地震現象を読み解くことに貢献していけるのではないかと思います。

 

【プロフィール】

内田 直希 (うちだ なおき)

東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター助教

長期間にわたる地震の観測データから、沈み込み帯の地震発生メカニズムの解明に取り組んでいる。

 

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[豆知識]ちょっと詳しい地震の情報を得るには?

本Webアプリの地震・災害・気象のページのほか、下記のページでも最新の地震の状況や地震に関す知識を得ることができます。

  • 地震の活動状況(気象庁):最新の地震情報

http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/index.html

  • 防災地震web(防災科学技術研究所):最新の地震情報

http://www.seis.bosai.go.jp

  • J-RISQ地震速報(防災科学技術研究所):市区町村ごとの揺れの状況など

http://www.j-risq.bosai.go.jp/report/

  • 地震に関するFAQ(日本地震学会):地震に関するよくある質問と回答

http://www.zisin.jp/modules/pico/index.php?cat_id=6

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気象庁

http://www.jma.go.jp/jma/index.html

 

防災科学技術研究所

http://www.bosai.go.jp

 

地震学会

http://www.zisin.jp

 

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